子どもが難病になった経験者として伝えたいこと

~難病の子を持つ親の心境~

この2年ほど、子どもが難病だという相談が増えています。

中には赤ちゃんが自己免疫疾患だという相談もあり、難病の若年化、そして時代の流れの深刻さを感じます。

私も、13年前に娘が難病になった親であり、父です。

それまでは、自分の子が難病だという宣告を受けることなど、想像もしませんでした。

娘の異変を感じ病院へ行きましたが、その時は治してもらえると思っていました。

「病気だとしても、病院へ行けば治る」

それくらいの気持ちでしかありませんでした。

しかし、医師の言葉は「治りません。5年後には寝たきりになります。」

そんな宣告を受けて、呆然としました。

それからは何も手につかず、寝顔をみては涙がでました。

通っていた保育園も辞め、嫁がずっと付き添う形で家にいました。

家全体の空気が、今までとはガラっと変わってしまい、今思うと、私も嫁も深刻な顔をしていたと思います。

目の前にいる娘が、5年後には寝たきりになると思うと、どうしようもない気持ちになり、何も手につかなくなったのです。

嫁も同じ気持ちだったと思います。

大事に育ててきた娘の将来が、残酷なまでに辛いもので、それをこれから見ることになると思うと、親としてそんな辛いことはありません。

どこかで気持ちを切り替えないといけない。

そう分かっていても、なかなか出来ることではありませんでした。

難病のお子さんをお持ちの方は、同じ気持ちでおられる方も多いと思います。

相談を受けていると、当時の自分の心境と重なることも多々あります。

どこの親も同じで、何とかしてあげたいという気持ちが、十分に伝わってきます。

また、難病をどう捉えるかは人によって様々で、何が正しいかも人それぞれでしょう。

夫婦で考え方や受け止め方が違う場合も多くあります。

私は「治したい、治してあげる」そんな気持ちになりました。

嫁は「難病という現実を受け入れて、自分が長生きすることで娘をサポートし続ける」そんな覚悟をしていたようです。

難病の受け入れ方は違えど、親として子を想う気持ちは同じなんだと思います。

だからこそ、お互いの考えを尊重することが大切です。

そして、お互いがお互いの考え方を押し付け合うのではなく「子に対する思いは同じ」そう思うように心がけて欲しいのです。

~苦しい時ほど空回りする~

人は心が満たされている時ほど自分の気持ちを抑えることができます。

ゆとりがあるからですね。

しかし、子どもが難病ともなると、お母さんやお父さん、家族全体に心のゆとりはなくなってしまいます。

何とかしてやりたいが、何をどうしてやれば良いのか?

何が正しくて、どうしてやるのが子供にとって一番なのか?

子どもを思うあまりに、自分の気持ちや感情が抑えられなくなってしまうものです。

また、子どものことを思うがゆえに、考え方や方向性が違うと、どうしても衝突しがちです。

子どもへの思いが強くて衝突し、喧嘩になるのですから、それ自体は家族に対しての愛情の強さなんだと思います。

愛情が無ければ喧嘩になることもありませんし、自分の思いを伝えようとする行為じたい大切なことだと思います。

しかし、苦しい時ほど自分の考えを相手に押し付けたくなり、お互いが相手の考えを否定しがちになることも確かです。

相談者からの話を聞いていても「旦那さんが協力的でない」「家族の理解してくれない」「病気は病院が一番だと言われる」

そういう話は多くあり、私の家庭でも、意見が異なってしまう、そういう時期がありました。

強い思いが、大切に考えている子どものためにならず、更には家族の状況も悪くなっていくという逆効果になってしまうのです。

体に異変を感じている子どもは、家族の空気や親の姿に敏感です。

ですので、苦難が訪れた時こそ、理解し合う意識が大切だと感じます。

苦しい時ほど、相手の考えや思いに耳を傾けたうえで、自分の思いを伝えることが大切だと感じます。

~難病の子を持つ親に伝えたいこと~

子どもの難病をどう受け入れるかは、そのご両親が決めることで、何が正しいかはないと思っています。

しかし、絶対に治らないと言われた娘が、治った経験を私はしました。

また、多くの難病相談者が治癒していく姿をたくさん見てきました。

そういう事実もたくさんあることを知っていただいたうえで、ご両親で話あって欲しいと思います。

どう受け入れるは別として、難病の子を持つ親の苦しさや、子を想う気持ちは変わらない。

当時の私と同じような絶望感や苦しみ、悲しみの中で、懸命に生きていることが痛いほど分かります。

それを踏まえたうえで、同じ経験をした者として伝えたいことがあります。

・難病は「治らない病気」という意味ではないということ

・食べ物を変えたり、心のケアをすることで治った子はたくさんいるということ

・医師の言葉通りにならないことが多々あるということ

・人間の体は生きている限り、体の不具合を修復しようと日々動いているということ

・親の精神状態を子供は敏感にキャッチするということ

・子どもを守れるのは親であり、その親の前向きな姿に子どもの精神は常に救われるということ

・夫婦で考え方や捉え方が違えど、お互いの考えを認め合って前に進むことが子供にとって一番だということ

・希望や期待は更なる絶望にもなる時もあれば、今の不安や恐怖から救ってくれるということ

・子どもの体も大切だけど、まずは親が健康でいることが大切だということ

 

~闘病中の子どもにとって一番に大切なこと~

私自身、同じような経験と思いをしてきました。

無事に娘の難病が治り、その中で気づけたことがたくさんありました。

苦しんでいた当時の自分と同じ立場の方に、今だから伝えたいと思うことがたくさんあります。

現実よりも「頭の中で作り出す負の物語」に負けそうになるのです。

頭で想像する未来への不安や恐怖が一番心にダメージを与えます。

そうならない為にも、自分の思いに対して希望を持ち続けて欲しいです。

簡単なようで難しいことですが、希望を持ち続けることが日々の活力となり家族の空気を作ります。

そういう環境や親の姿が闘病中の子どもにとって一番に重要だということを頭に入れていただければと思います。

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