多発性硬化症 21歳男子 ~夢の職業へゴールイン~

ちょうど2年前、お母さんの肘を持ちながら事務所に入ってきた男の子がいました。

19歳、病名は非典型の多発性硬化症でした。

両目が見えない状態で、顔は浮腫み浅黒く、首の後ろには大きなこぶが出来ていました。

再発を繰り返し、その度にステロイドパルス、減薬すると視力が落ちる、その繰り返しだったようです。

そして、ほぼ見えなくなった状態で、お母さんに連れられて事務所に入ってきたのです。

話を聞くと、幼い頃からずっと夢だった職業の入社式1週間前に発病したそうです。

必死で頑張って内定をもらって、夢の職業に就く直前に難病になり、視力と未来を失いかけていたのです。

検査では、視神経の炎症と脳幹に病巣が4つ見つかり、医師からは治らない難病だとの宣告を受けました。

夢を叶える為にがむしゃらに頑張り過ぎたことが、体にとっては大きな負担になっていたのかもしれません。

そして、ホッとした途端に自律神経が副交感神経系側へと切り替わり、それが症状に繋がったのだと思います。

パルス後の服用は、ブレドニン:40㎎、イムラン錠:50mg

面談にこられた2019年9月の時点で服用していた薬は、ブレドニン:25㎎、イムラン錠:50mgでした。

そこから食事改善とでデトックス、薬を必要としない体に変えていこう、そんな話をしました。

そして「ようやく掴みかけた幼い頃の夢を必ず叶えよう」そんな話もしました。

その後、体の変化をみながら少しずつ減薬されていきました。

再発することなく1年半をかけて徐々に視力は回復し、脳幹の病巣も薄くなり、やがて消えていきました。

医師はその経過に対して、不思議そうに首をかしげたそうです。

そして、2021年2月にブレドニン断薬、その後7月にイムラン断薬に成功されたのです。

面談から2年を経て、全ての薬の断薬に成功し、7月7日に会いに来てくれました。

断薬までの経過は下記の通りです。

2019年11月 ブレドニン:25と20㎎隔日 イムラン錠:50mg

2019年12月 ブレドニン:20と15㎎隔日 イムラン錠:50mg
脳幹に4つあった病巣が2つ消えていた。脳幹の病巣は消えないと言われていたので驚いたと同時に本当に嬉しかった

2020年1月  ブレドニン:15と12.5㎎隔日 イムラン錠:50mg

2020年2月  ブレドニン:12.5㎎ イムラン錠:50mg

2020年3月  ブレドニン:10㎎ イムラン錠:50mg
視野が広がってきた為、気持ちは前向きで、自転車を乗る練習をしながらサイクリングを楽しんでいる

2020年5月  ブレドニン:7.5㎎ イムラン錠:50mg

2020年6月  ブレドニン:7㎎ イムラン錠:50mg
医師から消えないと言われていた古い病巣が薄くなって小さくなっててた。
「普通は病巣は消えないんやけどなぁ…」と医師が不思議そうに首を傾げていた

2020年9月  ブレドニン:5.5と5隔日 イムラン錠:50mg

2020年11月 ブレドニン:3.5㎎ イムラン錠:50mg

2021年1月  ブレドニン:1と0.5㎎隔日 イムラン錠:50mg

2021年2月  ブレドニン:断薬 イムラン錠:50mg
脳幹の古い病巣は薄くなったまま、新たな病巣はなく、再発の心配はないと医師から言われる

2021年7月  ブレドニン:断薬 イムラン錠:断薬

面談に来られる前は、何度も再発とステロイドバルスを繰り返していました。

その後は、一度も再発することなく1年半をかけて断薬することに成功されました。

最初に合った2年前の面談時は、目の前に座っている彼と目が合いませんでした。

見えない状況でこちらを向いていたからでだと思います。

私の顔が見えずに、何となく顔の形だけが見えていたそうです。

今年の7月に会いに来てくれた時には、目を見て話が出来ました。

私の顔が認識できるようになっていたことを喜んでくれました。

首の後ろにあった大きなコブもなくなっていました。

目が見えるようになってからは、タブレットを片手に1人でいろんな所に出かけたそうです。

浅黒かった顔は、日焼けして小麦色に変わっていました。

そして嬉しかったことは、会社が彼の前向きな姿勢に対して、待つという配慮で2年半もの間、彼の回復を待ってくれていたのです。

念願が叶い、幼い頃からの夢の職業に12月から就くことが出来たとのことです。

その報告に来て下さることとなり、夢を叶えた彼へのお祝いの気持ちを込めて、2021年12月7日に難病卒業式を行いました。

一部に視野欠損が残っていることもあり、本人は希望と不安が入り混じっているようです。

しかし、それも「必ず治す」という言葉が聞けて”夢を叶えるってことは、諦めないってこと”なんだと改めて教えられたような気持ちです。

難病を乗り越えた経験があれば、どんなことでも乗り越えていくと思います。

そして、苦しい中でも夢を諦めずに叶えたことは、彼の大きな成功体験として生きる力になるでしょう。

仕事に就くまでは遠回りしたようですが、意味のある貴重な経験だったんだと思います。

自分らしく成長していくための力として、夢の職業でこの経験を活かして欲しいと思います。