不安に負けないための話

~不安にならないことは難しい~

「不安になるんです。どうすれば不安にならずにいられますか?」
相談者から、そう聞かれることがよくあります。

「治らない病気です」
「ずっと薬を飲む必要があります」
「合併症が心配だから定期的に検査しましょう」
医師からそんな風なことを言われて、不安にならない人はいないと思います。

私も娘が難病だった頃は、毎日、不安に襲われました。
娘との闘病は、難病だけと戦っていたわけではありませんでした。
誰とも共有しがたい孤独と不安とも戦っていたのです。

病気のことを検索したり、調べたりするほど、自分の気力がなくなっていきました。
難病ですから、調べても希望に繋がるような情報がないからです。
調べれば調べるほど、心が絶望していきました。

過去や未来、後悔や苛立ち、そして不安や恐怖との戦いでした。
そんな日々が続くと、不安で潰れそうになりました。
検査数値が正常値になるまでの4年間、不安にならない日は一日もありませんでした。

そういう時にいつも思うことがありました。
「不安にならないようにすることは無理だ」
「だから、不安に負けないようにしていかなければ」と・・・

 

~今に意識を向けることの大切さ~

人の意識は、”過去” ”現在” ”未来” を足して100になります。
どこに意識をたくさん向けるかで心の状態は変わるのです。

変えられない”過去”への意識は、足かせとなってしまいます。
後悔や苛立ち、疑心暗鬼になるなど、今の自分を受け入れにくくします。
自信のなさや自分を肯定できない自己不信につながってしまうのです。

そんな状態で病気を検索すると、「治らない」という情報に絶望を感じてしまいます。
「進行する」「再発する」という情報に心が揺れ、薬に頼りたくなります。
治る方法を探しては、極端な療法に縋りたくもなります。

そして、どうなるか分からない”未来”を意識したときに強い不安が襲ってくるのです。
であれば、どうなるか分からない”未来”に、希望が持てることを増やせば良いのです。
そして、”過去”や”未来”よりも、”今”に意識を向けることが大切だと思います。

 

~今、頑張れることを諦めずに続けていく~

変えられない”過去”ではなく、”今”何をするかを考えるようにしました。
”未来”に対する不安に負けないために、今できることを積み重ねたのです。
そうすることで、諦めずに前に進むことができたのです。

病気について調べるのではなく、体に良い情報を本やネットで調べるようにしました。
体が持つ自然治癒力の素晴らしさや可能性、そういったことを知ることができるからです。
また、難病を克服した内容も含まれていたりするので、希望につながりました。

今できていることや、楽しめれていることにも意識を向けてみました。
言霊にも似てますが、ポジティブな言葉と実感の積み重ねをしました。
「大丈夫」というポジティブな言葉を実感するために、私は娘と2人で毎晩散歩をしました。

「娘は昨日歩いていたから、今日も歩いている」
「今日も歩いていたから、明日も必ず歩いている」
「大丈夫」という小さな成功体験の積み重ねが自信に変わり、前に進む力になったのです。

不安にならないことより、不安に負けないようにすること。
その為には「今できることを一生懸命やることが大切」で
その行動と実感によって、諦めずに前に進み続けることが出来るのです。

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