食事改善、イメージの違いと大切なこと

~40~50年前の食事って…?~

難病相談を受け始めた頃にくらべて、最近は子どもの相談を受けることが多くなっています。
生後数ヶ月の赤ちゃんもいれば、思春期の学生や社会人目前の若者まで、いろいろです。
年齢が低い難病の方は、20代後半から40代手前の親御さんが相談に来られます。

先日も子どもさんの相談で、お母さんから食事について質問を受けました。
イメージしてもらおうと、「40~50年前の日本の家庭料理を思い出して」と言って、はっとしました。
当たり前のことですが、生まれる前の話だからイメージできないですよねぇ・・・

40~50年前は、まだ、市場や個人商店で食料品を買っていた時代です。
八百屋さんで野菜を買い、「これ、初物(はつもの)やで~」と勧められたりしました。
魚屋さんで魚を選び、豆腐屋さんで豆腐や厚揚げを買っていました。

その頃は、アトピーや難病の人を身近に感じることが少なかった時代です。
今のように2人に1人がガンになるとか、アトピーだとは言われることはありませんでした。
医学の進歩で解明されたからという見方もありますが、食生活が変わったことは大きな要因の1つだと思います。
その事は、食事改善を行いながら治っていかれる多くの難病相談者さん達を見ても分かることです。

卵や乳製品、小麦など、これまでの日本人が食べなかった食品をたくさん食べるようになりました。
生産性や簡素化を競って、農薬や添加物、人工的な加工品が増えました。
いつでも手軽に、好きなものを好きなだけ食べられるようになって、食生活が変わっていったのです。

だからこそ、身体が必要とする栄養を、自然なかたちで摂ることが難病克服の為には大切なのです。

 

~手作りなら大丈夫?~

若いお母さんからしたら、昔の食事を想像した時に「手作り」のイメージが強いからかこんな質問もいただきます。
「手作りのお惣菜はOKですか?」
これも相談者さんからよく聞かれるのですが、スーパーなどの店内で作られたお惣菜のことです。
パウチ惣菜は「手作り」のイメージではないけれど、店内で作ったお惣菜は「手作り」に近しいと思っての質問だと思います。

オートメーションで作っているのか、人が作っているのか
残念ながら、ポイントはそこではないのです。

たとえば、甘酢肉だんごがあったとします。
パウチ惣菜は肉団子の肉は「食肉(豚肉、牛肉)」と書かれていますが、どこの国のどんな肉なのでしょうか
それは店内で売られているお惣菜も同じで、わかりません。
パウチ惣菜の調味料はというと、何のために使われているのかがわからないほど、たくさんのものが書かれています。
手作り惣菜の方は、そもそも記入すらないものも多くあります。

お家で油を使うのは大変だからと、フライものを買おうとするとします。
その唐揚げのお肉は、国産?ブラジル産って大丈夫?
揚げ油は何を使ってる?いつ変えた油なの?

見えない、わからないことがたくさん出てきます。
要は、人が手作りしているか工場生産なのかではなく、材料や調味料が安心できるものかどうかです。

それでも、体調が優れないときや、時間がないときなど、お惣菜を頼る場合もあるでしょう
その場合は、産地の表記や、「無添加」「オーガニック」などのアピールがあるもの、信用がおける店舗などを基準に選びたいものですね。
100%のストイックさで厳守する必要はありませんが、わかったうえで気を付けることが大切だと思います。

 

~食べ物で身体を作り替える~

食事改善では、身体に良い方向に働く自然で安心できる食材を、身体に負担なく摂ることが大切です。
同様のことを健康や医学の知識がある色々な方も唱えています。
中には、とても極端な食事を勧めたり、非常に厳格なルールがあったりするものもあります。

当センターが考える食事改善は、40~50年前の日本の家庭で食べていた食事に近いものです。
そして、極端であったり、絶対であったりするものではなく、無理しすぎず、続けられることが前提です。
あれダメ、これダメとなってしまうと、守れない罪悪感や食事自体がストレスになってしまうからです。

人それぞれ、年齢や性別、体格も違えば生活スタイルも異なります。
まして、どんな病気で、どんな症状なのか、どんな性格なのかも人それぞれです。
食品の良し悪しは一定ですが、何をどう食べるかを一緒に考えていくことが大切だと思っています。

実際には、最初の面談や電話相談時に、食品選びのポイントを中心に食事改善のアドバイスをお伝えしています。
デトックスや腸内環境改善の方法についても同じです。
また、誕生日のケーキや旅行中の食事など、普段の食事改善では食べないものを食べた時の対処法なども伝えています。
それらを続けることで体の機能を高め、治癒力をあげていくのです。

その後のサポートを希望する方には、食事を変えたことで変わっていく身体についての考え方や、検査結果の捉え方などをアドバイスさせてもらってます。
途中で諦めてしまったり、立ち止まって動けなくなることが、結果につながらないからです。

「食事で身体を作り替える」ということは、1日2日でできることではありません。
皮膚であれば1ヶ月前後、筋肉は3ヶ月、体が一新するには1年近くかかると言われます。
無理しすぎず「食べ物で身体を作り替える」イメージで日々を積み重ねていくことが大切です。

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