難病克服支援センターを始めて気づけたこと

50歳までは会社勤めをしていたので日常的に接する人は法人の人でした。

要は、役割を与えられた会社員であったり、会社を背負っている社長であったりします。

話す内容もプライベートなことより、ビジネス的な内容が中心になります。

ですので今思うと、人と話しているというより会社と話していたんですね。

人と人であり、会社対会社でした。

そんな中で相性が良い人がいたり、いつも噛み合わない人がいたり、気が短い?、優柔不断?

人として感じる部分はありましたが、人としての繋がりは薄いです。

なのに会うと「もう出会って5年が経ちますね」みたいな話をするわけです。

本当の相手を知らずに、また知ろうともせずに5年が過ぎただけなのにです。

単なる会社の営業的な窓口を5年しただけに過ぎないのに。

しかし実は、そういう事に気づけたのは難病克服支援センターを始めてからなんです。

難病の方から相談を受けるようになって

「難病になった原因はなんだろう?」「何が発病のキッカケ?」

「ストレス抱えてた?仕事での人間関係は?」「何かスポーツしてた?」

「長女?性格は?」「心の癖は?」「その思考は幼い頃の親子関係が原因?」「どんな家庭で育った?」

「今までどんなものを好んで食べていたの?食生活が乱れた時期はあった?」

「食事は今は誰が作っているの?自分で作れるの?買い物には行ける?家族の協力は得られそう?」

最初の面談や電話相談で相手を知ることから始まり、知ることで同じ目的に向かってスタート出来るんです。

しかし、会社勤めの時は、相手のこと知るというより、相手の腹をさぐり都合を読み取ることだったんです。

勤めている会社が違うので目的も違いますよね。

もちろん、一緒に仕事をして喜び合って、一緒にお酒を飲みに行くってこともありました。

それでもお互いの立場を尊重した仕事が出来たに過ぎず、お互いの目的はお互いの立場や会社の都合だったということです。

しかし、今は違います。

相談者とは目的が同じなのです。

ですので自分の都合と相手の都合は同じで「難病を克服する」ということです。

なので、言いたいことを言えるし、それが多少は厳しい言葉になっても相手が悪く受け取る心配がありません。

「落ち込んだら電話ください」「愚痴があったらぶちまけてください」「前に進めなくなったら、そのことを教えて欲しい」と伝えるのも目的が同じだからです。

「厄介な相談者ですみません」っていう人もいますが、目的が同じなのでその方が有難いんです。

人と人との繋がりや信頼関係、そういうものを大切に出来る仕事って少ないと思います。

患者と医師であったり、消費者とメーカーだったり、お互いの都合が同じようで実はそうでないことが多い世の中です。

子供のための学校でさえ教師と保護者の都合が合わず、保護者はモンスター化し、教師はリスクを考え自分の身を優先するんです。

お互いが自分の都合を押し付け合い、表面上だけの都合を合わせるのが当たり前な世の中になっています。

しかし、それでは誰にとっても何も良いことが生まれないと思います。

相談者の中には、一度も会わずして難病を克服し、相談者という関係でなくなる人も多くいます。

会わなくても目的が同じであれば信頼関係は築けましたし、それによって成果も現れました。

ですので、ネット社会だからって人間関係が希薄になる訳でななく、リアルな関係だから強い信頼関係が築ける訳でもないということですね。

要は、お互いが同じ目的を持って前へ進むことで、相手を思いやる気持ちは自然と生まれるんだと思います。

これって本来は、人として当たり前のことだったんだろうな。。。と改めて感じます。

難病という同じ苦しみを味わった経験での繋がりが、大切なことに気づかせてくれた気がしました。

難病克服支援センター
戸田